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「こっち」 「あ、は…はい」 手を引かれて長い玄関を歩いていく。 そして、真っ黒な扉の部屋の前で足を止めた。 風隼さんは何も言わず、ガチャりと扉を開ける。 「…うわぁ」 思わず声が漏れた。 そこは先程の真っ白な外見でもカラフルな玄関とも違う、真っ黒な暗黒の部屋。 「ここって…」 「俺の部屋」 パチンッと電気をつける音がなる。 少し明るくなったその部屋は、先程の暗黒とは違うグレーかかった色合いへと変わった。 「ふふっ、キョロキョロしすぎ(笑)」 「あ、す、すみません」 「別にいいけど(笑)」 風隼さんは部屋の奥に向かうと一際目立つ大きな扉の前に立った。 ギィーっと鈍い音をたてて、その扉を開ける。 「…うわぁぁぁ……」 本日3回目の感動を知らせる声。 「凄いでしょ」 「う、…うん」 扉の先には風隼さんの部屋の二倍はあるであろう、広い部屋にオシャレな洋服がこれでもかと部屋いっぱいに飾られていた。 「よし!」 感激で立ちすくむ僕を他所に、風隼さんは沢山ある服の中から唸りながらも真剣に何かを探し出す。 「あ、あの…何を……」 気になって声をかけてみると 「え?何って、冬麻くんの服を探してんだよ?」 「え、え!?」

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