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「うーん…やっぱシンプルな方が似合うのかなぁ…あ、けどパーカーとかも似合いそう」 「…あ、あの……」 「ん?なに?」 「…どの服も、その…似合う気がしないんですが……」 そう呟くと、風隼さんが僕の肩をガシッと鳴るように思いっきし掴む。 「あのね、冬麻くん」 「は、はい…!」 「冬麻くんはね、決して不細工じゃないんだよ」 「………、ははぁ…」 突然どうしたのかと思えば、真剣な顔して、そんなことを言ってくる風隼さん。 確かに、中学の頃は別に普通の顔立ちだと思ってたし、言い過ぎだとは思うけど、涼には「イケメンイケメン」言われ続けてたし… けど、今のこの格好じゃ… (無理があるだろ…) これは、決して自己肯定感が低いからとかでは無い。 きっと、今の姿しか知らない人でそんなこと思ってるのは風隼さんぐらいだろう。 「あのねぇ、俺の美徳センス舐めないでよ?」 「へ?」 「冬麻くんは確かに、ダサいし暗いし、モテ要素なんか見た目で一つも無いけど」 す、凄い言われようだけど…… 「元は絶対いいんだからね!」 「……へ?」 風隼さんの手が僕の頬にそっと当てられる。 「だって、目はどんなのか分かんないけど、顔の下半分は決して不細工なパーツじゃないよ」 そのまま顔を思いっきし近づけられた。 「!?!?」 「むしろ、凄く整ってる…」 風隼さんの目がキラリと光った。 「いや、あ…あの…」 あまりの近さに流石に恥ずかしくなって目を背ける。すると、距離感の近さに気づいたのか 「あ、ごめんね!」 そう言って、パッと手を離した。 「俺、父親の遺伝からなのか、綺麗なものに目がないんだよね」 真剣な顔してそんな恥ずかしいこと言ってくるから、益々頬が赤くなる。 それに気づいてるのか、気づいてないのか… 風隼さんは再び洋服の方へと足を送った。

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