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┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
「え、誰?」
「ダサ…」
「え〜、私格好はタイプ♡(笑)」
羽野を見てクスクス笑う子に、怪訝そうな顔を見せる子…
真ん中にいる女の子は戸惑ったような表情を見せていた。
「あ、あの…」
女の子が再び小さく声を出す。
が、
ギュッ
「!?!?」
「か、河木くん…いこ」
(や、やばい…)
少しだけいつもより強気で…なのに、俺に懇願する様な目を向けた羽野は、グイグイと俺の裾を引っ張る。
「なに、コイツ」
「邪魔すんじゃねぇよ」
「今、この子頑張ってんだけど?」
隣でそんな声が聞こえたが、正直頭の中には入ってこない。
「あ…わ、私じゃ…ダメ…ですか?」
真ん中にいた女の子の不安げな、か弱い声も耳に入ってきたが今は…
「河木…くん」
羽野以外の奴ら全員、可愛いなんて思えない。
頭の中にこれっぽっちも入んないんだ。
「ごめん、今日、この子と約束あるから」
俺の裾を引っ張る、羽野の腕をそっと離す。
その一瞬、悲しげな表情を見せたが、勘違いされないよう直ぐに手を握った。
(顔真っ赤っか(笑))
さっきまでの強気な視線はどうしたのか、乙女の様な可愛らしい反応に胸がキュンっと高鳴る。
「え、あっ…」
「だから、ごめんね?」
先程思った、“戸惑いの表情 ”とは違い、“ 戸惑いを隠せないでいる”という表現の方が近い、反応を見せてくる女の子。
取り巻いてる女の子三人組は、何やら文句を言っている様だけど、今度は耳にも入らない。
「行こっか?」
せっかくの、デートだ。
こんな事に時間を取られてる暇なんて、俺にはないんだ。
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