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「か、河木く…「良かった…」
「え?」
「羽野が、前向きに捉えてくれてて…」
河木くんがふっと小さく息を吐く。
「元々俺が羽野を誘ったから…もし、傷ついてトラウマにでもなってたら…どうしようかって…」
河木くんの不安げな目が僕を捉える。
その目が、物を壊してしまった後の忠実な犬みたいで…
「…か、かわ…」
「え?」
「あ、いや…!」
心の中で犬の耳を付けた河木くんを勝手に想像し、思わず声が漏れてしまった…
「え、っと…講習が再開した頃に…言いに、いくので」
話を戻そうと眼鏡をクイッと上げ、少しだけ下を向く。
「…ふふっ」
「え?」
突然河木くんが笑いだし、ビックリして顔を上げると。
「久々に、羽野が眼鏡を上げるところ見た気がする(笑)」
「え、…そ、そうかな?」
あまり自覚しないでやってたけど…数が増えたとか減ったとか、正直分からない。
「そうだよ!前なんかちょっとでも顔見ると眼鏡クイッて上げちゃうんだから!」
そ、そんな意識なかった…
知らなかった自分の癖に、河木くんが僕の事を思ってたより知ってることに恥ずかしくなり、眼鏡を上げようと自然に上がった腕がピシッと停止する。
「ふはっ、別に上げてもいいんだよ?(笑)」
そ、そう言われると…やりずらい……!
僕は上がっていた腕を下にさげ、その代わり顔をぷいっと横に向けた。
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