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「やっぱ、雪降んのかなぁ…」 「降りそう…だよね」 「…ホワイトクリスマスかぁ」 ホワイトクリスマス… (憧れだけど、…河木くんは嫌かな…) 冬が好きな僕にとっては、河木くんと過ごすクリスマスに、雪が降ってくれるなんて… 神様からの贈り物のように嬉しいけど… (冬が嫌いな河木くんにとったら…嫌、だよね…) ちょっとだけ、心が落ち込んでしまう。 「…っくしゅん」 寒さに体が震えて、思わず出てしまったくしゃみ。 毎年風邪を引いてしまう僕にとってはなんのことでもないんだけど… 「大丈夫!?」 ものすごく勢いで、河木くんに腕を掴まれる。 びっくりして何も答えられずにいる僕に目を泳がせおどおどする河木くん。 「これ!巻いて!」 河木くんは突然自分の首をグルグルに巻いていたマフラーを徐に外し、僕に差し出す。 「い、いや!ダメだよ」 寒さが誰よりも苦手で嫌いな河木くんのマフラーを取ってしまうなんて…絶対にだめ! 「だ、大丈夫だから!それより…羽野に何かあったら…」 マフラーを外し、少しだけ身震いする河木くん。 「だ、ダメだって…」 僕が大丈夫でも、河木くんが風邪を引いてしまう… お互い、1歩も譲らず、マフラーの攻防は歩きながらも長々と続いたわけで… 「はぁはぁ…」 「つ、疲れた……」 ヒートアップ仕掛ける前に息切れで収まった攻防は、周りの人達による目で僕の勝利に終わった。 「お願いだから、風邪引く前に言ってよ!?」 「わ、分かった…」 たまに思うけど、河木くんは周りの人を気にかけ過ぎる所があると思う。 (そんな所も好きだけど……) いつか、河木くん自信が体調を崩さないか心配だ。 「もし、風邪引いたら…」 河木くんの手が僕の頬にそっと触れる。 「俺に看病させてね?」 心配そうな目で、素の状態で言ってしまう河木くんは 「っ…」 誰よりもタチが悪い。

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