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「あ、あの…」 「ん?」 「どこ…向かってるの?」 しばらく歩き続けて段々と人が多くなってくる。 人がこんなにも集まってるってことは人気な場所なんだろうけど… 「もう少しでつくから待ってて」 河木くんはニコニコ笑っているだけで何も教えてなんかくれない… (ちょっとぐらい、教えてくれたって…) サプライズに慣れてない僕はそう思っちゃうけど、きっとこういう所が河木くんのモテる要素の一つなんだろう。 それに、気になりすぎて僕がソワソワしてしまってるのも本当だし… 「ほら、ついた!」 「え?」 河木くんの声に下がっていた目線が上を向く。 「…うわぁ…」 「ね、綺麗でしょ?」 目線の先には、木や建物を美しく纏う淡い光。 その光を華やかに彩る、コーラス隊のクリスマスソング。 「これ、…テレビでやってた…」 「そう、東風イルミネーション」 河木くんの言葉に思わず心が躍ってしまう。 だって、東風イルミネーションは… 「ずっと見てみたかったんでしょ?」 「え?」 「涼さんが言ってた」 …涼 (…覚えてたんだ……) ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 【涼!東風イルミネーション見に行こうよ!】 『俺、忙しいから無理』 【いいじゃん!今日くらい、作品作り置いといてさ!】 『お前一人で行けばいいだろ…』 【こんなクリスマス真っ最中に、男一人で行けと!?】 『…じゃあ、他あたれ』 【他の人いないから、涼と一緒に過ごしてんじゃん!!】 涼がはぁ…っと小さくため息をつく。 『あんなぁ、イルミネーションは好きな奴と一緒に見に行くもんなの』 【…好きな人?】 『そう、ましてや東風イルミネーションなんてその典型だろ?…それ売りにしてるとこあるし…』 【じゃあ、俺見に行けねぇじゃん!?】 焦る俺に涼がふふっと小さく笑った。 『もし、お前に好きなやつが出来たら、一緒に行けるよう俺が仕組んでやるよ』

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