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「あ、あのさ…羽野」 「ん?」 「…っ」 話しかけたのは自分だけど、やばい 振り返ってこっちを見る羽野が綺麗すぎて… (心臓…バックバク……) これが世にいう“夜景心理学”ってやつなのか、単に俺が思ってる以上に羽野にぞっこんなのか…羽野の今日の格好のせいなのかは分かんないけど、 (今から、言えるんじゃないか…) ずっと保留にし続けて、つい最近知った、この気持ちの名前を伝える時が この、ツリーの下で… バックバクだった心臓がさらに、煩く鳴り響いて止まってしまうんじゃないかと思うほど。 (こんな、緊張したの…初めて…) 好きな人に告白するのって、こんなにドキドキしたっけ… これが本当の恋で、本当の告白なら、俺は今まで何してきたのだろう… そう思ってしまうほど。 「あのさ、…俺…」 羽野の目が俺の目をじっと見つめる。 見たことない羽野の目だけど、視線だけは分かるんだ。 ずっと感じ続けてきたものだから。 「…どうしたの?」 息をすっと吐く。 (伝えるんだ。絶対に…) 「俺、羽野の事が…」 「好きです」そう、伝えるつもりだった。 「ちょー綺麗じゃん」「すげぇ!こりゃ来る価値あんな」「来年こそは彼氏と来たーい」「俺だって可愛い彼女とすごしてぇよ」 (あ、……) ツリーの横を同い年ぐらいの男女グループが通り過ぎる。 その大きな話し声と人数に押され、少しだけ後ずさりしてしまったが、一瞬で過ぎ去っていきもう一度羽野の方へと向き合った。 のだが、 「…羽野?」 さっきまで普通だった羽野の様子がおかしい。 挙動不審とかじゃない、顔を真っ青にさせ冷や汗をかいてるような… 初めて話した時でも見た事ない、何かに怯える様な姿。 「羽野、大丈夫?」 気分でも悪いのかと腕にそっと触れるが、 ビクッ 「っ!?」 向けられた瞳は先程の柔らかいものでも気分が悪い虚ろなものでもなく、 明らかな拒絶。 久しぶりに受ける、羽野からの拒絶反応に思わず手を引っ込めてしまった。

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