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羽野が理由もなく拒絶するはずないと思い、直ぐに 「どうした?」 と、出来るだけ柔らかく声をかける。 それに、一瞬だけ触れた腕… それは、冬の夜で冷ただけの冷たさではない。 冷や汗をかいたような…そんな冷たさだった。 「……ごめん」 「え?」 ようやく声を出した羽野だったが、その第一声が何故か謝罪。 「いや、大丈夫…だけど」 とりあえず、イルミネーションから離れ何処か暖かい所にでも行こうかと思っていたら 「ごめん…今日は、……帰っても…いい?」 「…え?」 段々と虚ろになっていく羽野の目。 (これ…ヤバいんじゃ) さっきの怯える様な瞳に生気が段々と失っていってる。 「ちょっと…気分悪い…」 それだけ言いふらふらと歩き出す羽野。 「家まで送る!」 (こんな状態の羽野、絶対一人で帰るなんて危ない!) そう思って、肩を抱いたが バシッ 「…え、」 一瞬何が起こったのか分からなかった。 (俺、振り払われた…?) 空中で彷徨う俺の腕を見て、ようやく頭が追いついてくる。 (そんな事…最近までなかったのに…) けど、それ以上に俺の胸を締め付けたのは羽野の表情。 (…なんて顔してんの……) 何も感情がないような、けど苦しみを抑えるような… 全くと言っていいほど何を考えているのか分からない。 「…ごめん」 何も動けないでいる俺に、羽野はそれだけ言い残し、走り出す。 「…まっ」 最後に見せた泣きそうな目にやっと声が出たが、体はやはり動いてはくれなかった。

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