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「めっちゃ綺麗だねぇぇ!!」
「…そうですね」
「あれ?れんれんあんま乗り気じゃない!?」
乗り気はあるよ、イルミネーションが嫌いな訳じゃないし、
「あ、体調悪いとか!?」
気分は最高に悪いけど、体調は別になんてことない。
「…れんれん?」
はぁ…っと思いっきしため息をついてやる。
少しだけ不安げに目を揺らしたひろくん。
(別に、そんな顔をさせたい訳では無い)
「この、鈍感野郎」
「…え?え?」
プイっとそっぽ向くと、そのまま俺はスタスタと光り輝く道を歩き進める。
慌てるひろくんをほっといて歩き続けると…ほら、
「うわぁ…」「綺麗な人…」「彼女とかいないのかな?」「…話しかけられないかな」
視線が一気に俺に集まる。
足を進める方に道が開いていく。
その事を俺は分かってるんだ。
ひろくんや夏喜なんかと違って、分かってて自ら進んでいく。
そんな計算じみた奴、ひろくんは嫌いでしょ?
「ちょっと待ってよ!!」
自己嫌悪に駆られていると、直ぐに腕を掴まれグイッと体を引っ張られる。
「っ!?」
「危ないでしょ!!悪い人に捕まったらどうすんの!?」
悪い人って…俺は何歳だよ…
「別に、捕まろうが何されようが、関係ないでしょ」
周りからの視線が更に熱いものへと変わっていく。
それが嫌で、俺は辺りを睨みつけるんだ。
ひろくんに女だろうが男だろうが、俺以外の視線を浴びさせたくないから。
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