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(夏喜side) 俺たちの姿を捉えるなり、驚いた表情を見せる涼さん。 (そりゃ、そうだろ…突然アトリエに押しかけるなんて) 迷惑だと、分かってる。 けど、それでも羽野の事について今、知る必要があると思ったんだ。 「ごめん、涼さん…突然押しかけて」 「いや…良いんだけど…」 そう答える涼さんに、何故か少し違和感を覚えてしまう。 いつも通り、冷静で落ち着いてる涼さんではあったけど… 「中に入らせてもらえない?」 俺よりも少し前にいた、蓮が遠慮もなく、キッパリと言い放つ。 「…えっと……」 涼さんがチラッと部屋の方を見た。 (…涼さん?) 不思議に思って、俺も涼さんの部屋を少しでも覗き込む。 「あ、お邪魔だったりした?」 涼さんの様子に陽斗も気付いたのか、申し訳なさそうに眉をキュッと下げる。 「……いや、邪魔じゃないよ」 「どうぞ」といつもの様に、淡々とした声で伝える涼さんは、どこか影があって… 「お茶で良い?」 何を考えているのか、全く分からない。

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