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「はぁ!?ちょ、涼!!」 「はいはい、惚気ですかぁ〜、他でやってくださーい」 俺の腕の中で慌てふためく冬麻。 それを見て笑って茶化してるコイツだって、目の奥は笑ってない。 「……冬麻 」 暫く足や腕をバタバタ動かしていた冬麻だったが、諦めたらしく大人しくなってると、突然聞きなれない声が耳に入る 「あれ!どうしたの?」 冬麻のいつもより何処か明るげな声に後ろから顔を出すと、顔を少し赤らめてる初めましての人。 「……誰?」 冬麻を抱きしめる腕を少し強め、目の前の見知らぬ奴を睨みつける。 「あ、涼、この人は…」 「と、冬麻くん!これ!!」 「え!?…ちょっ」 「じゃ、じゃあ!」 「ま、待っ!」 冬麻からの紹介を遮り、何かを冬麻に押し付けると走り去って行った見知らぬままの奴。 「……行っちゃったよ?……手紙?」 ちょっと落ち込み気味な冬麻を宥めるように優しく問いかけると 「……うん。」 とだけ答え、手紙をじっと見つめる冬麻。 〝冬麻くんへ〟 この文字を何度見ただろうか。 (…はぁ、またかよ) 「……なんだろう、手紙なんて…」 きっと、何の手紙か気付いてないのは冬麻だけ。 鈍感すぎる冬麻にため息が出来そうなのと同時に、また冬麻が傷つくかと思えば心が痛い。 冬麻は友達思いだ。 友達のためなら何だってするし、友達を信じて疑わない。 そんな、漫画の主人公みたいなやつ。 けど、冬麻の友達は、皆冬麻を友達以上に見てる。 誰もが‘ 願わくば… ’そう思って傍にいるんだろう。 鈍感な冬麻がそれに気づくはずもなく… (ラブレターとか告白されて、初めて気づくんだ) そして、皆冬麻の前から消えていく。

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