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「…なぁ冬麻」
放課後、冬麻の部活が終わり冬麻を家まで送り届ける。
前は途中まで一緒に帰り、分かれ道で別々になっていたが、
俺と別れた後、同じ学校の奴らが冬麻をしつこく誘っているとクラスメートから聞き、嫌がる冬麻を無視して家まで送り届けることにした。
「何?」
冬麻の右手にはアイスココアがひとつ、俺はそれを奪って一口貰う。
「…はぁ……手紙の内容、何だったの?」
ココアの缶を返しながら問いかけた質問。
いつもなら、この質問をした後分かりやすいぐらいに落ち込んで、どうしたらいいだの何でだなど…半分嫌味にも取れる愚痴を吐くのだが…
「あぁ!峻からのやつ?」
(…あれ?)
いつもとは真逆な、落ち込むどころか嬉しそうな冬麻に驚いてしまう。
「…え、ラブレターじゃ…」
「違う違う!!涼までそんな事言う!?(笑)」
ケラケラ笑う冬麻は、いつもより幸せそうで…というか、浮かれてて…
何故か自分の中で不安の渦が巻く。
それは、あいつがホテルkouno社長の息子かもしれないからなのか、単純な俺の嫉妬なのか…分からないけど
「冬麻」
「ん?」
「…何か起こったら…いや、おかしいと思うことが少しでもあったら、俺に言えよ」
物凄く、あいつの存在が気になってしょうがない。別に悪いやつには見えないし、冬麻が心を許してるようなやつだから…大丈夫なんだろうけど
骨が喉につっかえた様に
心臓に小さな針が刺さっているかの様に
放っておいたら、大事になってしまう危うさがあるように感じるんだ。
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