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突然、取り乱す親父さんに俺は頭が真っ白になる。
「涼くん!涼!!何故だと聞いてるんだ!?」
何故?何故なのかなんて俺だって知りたい。それに理由、親父さんが取り乱すほどの理由が知りたい。
ちょっとやそっとの事で、息子の事など気にも止めない親父さんが乱れるほどの
けど今は…そんな事より…
「ホテル…」
「…なに?」
「kounoホテルのアジトはどこですか?」
冬麻の身の安全が一番だ。
┈┈┈┈┈┈┈
「冬麻!冬麻!!!」
親父さんから教えて貰ったアジトの場所は加紅中学から車でおよそ10分ほどかかる工場。
タクシーを呼び場所を告げた親父さんは
『冬麻を頼む、お互い話はその後だ』
俺にそれだけ言い、タクシー代を渡された。
そして今、俺は工場の中にいる。
「冬麻!何処だ!!」
薄暗く古びた工場には人気が全く感じ取れない。
「冬麻!!いたら返事してくれ!」
本当にいるのかさえ分からないその空間に、もし冬麻が居たら
その可能性がゼロになるまで探し続ける。
工場の中を走りまくる。
「冬麻!」
ガシャンッ
工場の2階に足を踏み入れ、名前を叫んだ瞬間、後ろの扉から何かが落ちるような音が聞こえた。
「…冬麻!!」
この音を起こしたやつがヤベェ奴だろうとkounoホテルの関係者だろうと関係ない。
冬麻がいるなら、無事なら
ドンッ
重く何かで抑えられてるような扉に体当たりでぶつかる。
幸いボロボロだった扉はそれだけで軽くなり、少しだけ距離を取った後、次は足蹴りで扉を蹴った。
それと同時にガンッと大きな音を立てて扉は後ろに倒れる。
「……っごほごほ」
煙が一気に立ち、目の前が真っ白になる目線のその先には
「…冬麻!?」
椅子に繋がれながら床に倒れる、ボロボロな冬麻の姿だった。
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