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「冬麻!?おい、おい…大丈夫か!?」 冬麻の元へ駆け寄り、埃まみれの体を抱え込む。 ふわっと舞う埃に咳き込みそうになりながらも、横たえるその体を強く抱きしめた。 心臓はゆっくり動いてるものの、クーラーのない夏の暑い部屋にも関わらず、大量の汗のせいでか体がひんやりと冷たい。 「…冬麻……」 なんで、こんな事になってしまったのだろう。 予想していた、いや、予想だにしなかった最悪の展開に頭が上手くついていかない。 何故こうなったのか、心臓が苦しくて悔しくて堪らない。 そっと、体を腕から離し、目にかかってる真っ黒な前髪を横に流す。 「っ!?」 その瞬間、隠れていた瞼に目をやった瞬間 心臓がはち切れるかと思った。 「……」 閉じる右目には美しい二重幅をかき消すように覆い被さる、赤い跡。下膨れのような白い跡も生じていた。 背中にひやりと汗が流れる。 一体、この傷を負ってどれくらい経ったのか… 急いで冷やさないと悪化するであろう傷に、鞄から凍らしたお茶を取り出した後、ハンカチの上から優しく目に当てる。 クーラーのないアトリエでは水分補給兼体を冷やすため、よく冬麻が凍らしたお茶を持ってきてくれていた。 最近来ることの無い冬麻の代わりに自分で持ってくるようになったのだが、こういう形で役に立つとは思ってもいなかった。 とにかく、誰かに助けを呼ばなければ… そう思い、冷やす手はそのままに鞄から携帯を手にする。 (…救急車…?それとも、親父さん…) 焦る頭を落ち着かせようとすればするほど、こんがらがってくる。 どうするのがベストなのか… どうしたら冬麻が助かるのか 震えだす手を必死に抑えていると、 ブルル ブルル… 携帯に着信を知らせるバイブ音が手のひらの中で鳴った。

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