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「おっと、見られちゃったかぁ(笑)」
見られちゃった…?
「は、そんなに睨むなよ(笑)お前だって目星は着いてたんだろ?」
フツフツと湧き上がってくる、怒りの炎。
静めるよう、ふぅっと小さく息を吐くが…
理性も何処まで持つか分からない。
「香山 峻に頼まれたのか」
声を押し殺して震える腕を抑えながら問いかける。
「ぶはっ、そうに決まってんだろ!!」
悪気もなく、当たり前とでも言うような口調
脳裏に浮かぶ、横たわる冬麻の姿
その瞬間、細くて脆い頭の糸がプツリと切れる音がした。
┈┈┈┈┈┈┈┈
「おいっ…おい!」
「……っ?」
誰かに体を揺さぶられ、一気に全身に激痛が走る。
いつの間に意識を失っていたのか…
目を開けると当たりを囲むパトカーに警察、そして救急車
「被害者が目を覚ました、意識はある模様」
体を揺さぶった警察官の声を聞いた瞬間、辺りのガヤの声が一気に耳の中に入ってくる。
「やっと、あの不良たち捕まったみたいねぇ」
「そうねぇ…こんなになるまで殴り続けるんだもの、やっぱただの不良じゃなかったのよ!!」
「警察は今まで何をしてたのかしら!?」
「どうせあれでしょ…kounoホテルと繋がってるとかどうとかの噂あったじゃない……」
「まぁ…権力って怖いわねぇ」
おばさん達のデカすぎる会話に、何となく状況は把握出来た。
警察官に連れられて、ガヤの少ない場所に座らされると
「救急車を一応呼んだが…ひとまず家の治療になるだろう」
「…え?」
まさかの言葉に、思わず聞き返してしまう。
普通、こういうのって大したこと無くても無理矢理救急車で連れ出されるものじゃないのか?
「……羽野さんからの申し出だ。しばらく家で見ると…」
言いにくそうに、そして
「察しろ」
そう言わんばかりの目に、嫌でも分かってしまう。
権力が恐ろしいのは、あいつの家だけじゃない。
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