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そんな疑問を微かに感じながら、冬麻の別荘に着き、様子を見るため冬麻の部屋に向かう。 「りょ、涼さん!!」 扉を開け、冬麻のベッドの前に立っていたお手伝いさんの一人が真っ青な顔をして俺の名前を叫んだ。 「………え」 お手伝いさんの後ろにあるベッド。 そこにいるはずの人物が 見当たらない。 「すみません!少し家事をしに部屋を出ていて、…部屋に戻った時には……」 体を震わせながら伝えるお手伝いさんは、見てなかった自分を追い込んでるかのように感じる。 「…捜索願いは?」 「お父様がするな…と」 扉が開き、俺を家まで送ってくれたお手伝いさんが中に入ってくる。 「今、家のものが探しに出ています。私も行きますが、涼さんは危ないので家に…」 ガタンッ 「涼さん!?」 待っていられるわけない。 (捜索願を出すな?) 親父さんは何を考えてる… 何か考えがあっての事なのか…それとも、 『あの人は、会社の事しか考えてない』 本当に、自分のホテルの事しか考えてないのか…… 家を飛び出し、チンピラのいた路地、コンビニ、公園などを見て回る。 時間は夜7時を過ぎていて、流石の夏でも辺りは真っ暗の闇に包まれていた。 (倒れてたりしてないだろうな…) まだ弱ってるはずの体で姿を消した冬麻。 夜だとしても暑い真夏日に汗が首をつたう。 どうか、また誰かに酷いことをされていないよう… 誘拐などされてないよう願うことしか出来ない。 「……はぁはぁ」 無我夢中で動く足が、あの工場の前で足が止まる。 真っ暗な空に紛れる工場は益々不気味さを増していて… うっすらと聞こえる海の声が、悲しみを包み込んでいるようだった。

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