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冬麻の噂が広がって数日後、
俺は久しぶりに冬麻の家へ向かった。
…のだが
「……何だこれ」
そこには、ドラマでしか見た事ない光景。
立派すぎる家の壁には赤いペンキで落書きされており、ホテルに関する誹謗中傷から冬麻のことまで
これまた、ありもしない事実を堂々と描き綴られていた。
そして、一番目を疑ったのは…
「……っ」
扉に多く貼られている、冬麻の盗撮写真。
それは、最近のものだけでなく入学式で座ってる姿や登校する姿、私服で歩いてる姿まで
その下に落ちてる封筒を拾って中身を見てみると
《一度でいいんでやらせてください》
そう、書かれていた。
見渡すと違う封筒が数多く落ちていて、どれも同じような内容。
怒りと悔しさで手に取ったその封筒を全ての破り捨てていく。
「…っうわ、やべ…」
そんな声が家の敷地外からし、目線をやると同じ制服を着た男子が走って逃げる姿があった。
(許せない…)
直接戦いもしない。
卑怯な手口しか使えない、脳みそだけが取り柄の空っぽ野郎。
そんな奴らに、何で冬麻が傷つけられなくちゃなんないんだ。
(何が進学校だ、何が優秀だ)
何も変わんねぇんだ
いくら賢くても、ずるい奴らはずるい
優秀でも、強いわけなんかない
パラドックスとも言えない当たり前すぎる事実なのに
人は勝手に決めつけてしまう。
自分を買い被り
他人を傷つけ
守る強さを得ようともしないんだ。
けれど、守る強さを得られなかった俺も
アイツらと対して変わらないのだろうか
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