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「お邪魔しました」
「来てくれてありがとう、またいらっしゃいね」
結局、冬麻の声を一度も聞くことなく俺は家を立ち去る。
もしかしたら、冬麻にとって今日俺の言ったことが負担になるかもしれない。
ストレスになるかもしれない。
けど
「また来ます」
その“ また ”を叶えるため。
明日か明後日か、1年後か10年後か
分からない約束を
また、俺は結ぶんだ。
破らないために、今度こそ守りきれるために。
┈┈┈┈┈┈┈
冬麻が町を、家を、学校を去ったのは
およそ1週間後。
親父さんの以降で転校を決めたという決断を知らされることはなかったけど
後日、冬麻を守るよう、教えてはくれない冬麻の家の合鍵を預かった。
夏と共に静かに去った冬麻は思い出までも連れて行ってはくれない。
秋が来る。
芸術の秋だ。
何を描こう、何を作ろう
アイデアなんて思い浮かばないけど
それでも、あいつがどこかで見てくれてるなら
意地でも作ってみせるよ。
春、新たな人生を歩み出す君の傍にいられるように。
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