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「向こうの部屋で何か食う?」 「…河木くん達は?」 「夜遅いし帰ってったよ」 頭をふわりと撫でながら答える涼に俺は首を縦に振る。 グラつきながら立ち上がる僕に涼は手を差し伸べ、僕はその手をギュッと握った。 涼の後ろにつき、さっきまで河木くん達がいた部屋の中に入る。 まだ、何も片付けられていない部屋。 机の上に置かれる水滴が少し残るコップとさっきまで座っていたのであろう椅子が見え、胸がキュッと締め付けられた。 「食うっていっても、夜中だし…おにぎりとかでもいい?」 その言葉に壁にかけられてる時計をチラッと見る。 針は、12の文字を少し超えていた。 「うん、ありがとう…」 それを聞いた涼は、ほとんど入ってない冷蔵庫からタッパに入ったご飯を取り出し、レンジにかける。 おにぎりさえ、独特な形を作り出してしまう僕は、机の上に置いてあるコップを洗面台に持っていった。 「え、洗い物すんの?」 ふざけた顔一切なく、目を見開きながらそんな事を言い出す。 それに対して僕は口を少し尖らせると 「これでもちゃんと一人暮らしやってる……」 そう答えた。 なのに、 「ご飯作んないのに?」 …どうせなら馬鹿にして欲しい。 言ってることは失礼なのに、これまた真剣な顔で涼は言ってくる。 「弁当洗うから…」 「弁当?」 「…河木くんが作ってくれる弁当」 どうせ「ちゃんと洗えてんの?」とか笑い一切なしで聞いてくるんだろう… そう思って、持ってきたコップを洗っているが、何も言ってこない。 予想を裏切られた僕は隣をチラッと見ると、何故か涼は驚いたように目を見開いていた。

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