(冬磨side) 朝、涼が作ってくれた朝食を食べ昨日着ていた服に着替える。 ｢洗濯しといたから｣ ニヤニヤ笑う涼は ｢好きな人の前では綺麗な格好がいいだろうし｣ なんて言葉を付け加える。 反論したかったものの洗ってくれたのは結構ありがたかったし、 それに、もし反論したとしても、また一個上手をいかれるだけなので目線をぷいっと逸らした。 ｢何時につっきーと会うの？｣ 朝食を取り始めなかなかの時間が経っているが、未だにパンを口に入れている涼。 普段、僕よりも食べ終わるのが遅いなんてことない涼だが、朝の弱い涼なら考えられる。 ｢…もうすぐ、かな？｣ ｢いや、もうすぐって｣ 目を大きく見開けた涼は食べていたパンをお皿の上に置く。 ｢つっきーに時間指定してないの？｣ ｢時間指定…と言いますか…｣ グイッと距離を近づけて食い入るように涼は僕を見る ｢連絡…交換してない｣ ｢……は？｣ さっきよりも目を更に大きくさせた涼。 ｢……なんで？｣ ｢な、なんでと言われても……｣ 逆に、どのタイミングで交換しようとなるのか… ｢そう言えば、俺からだったもんな…｣ 難しそうな顔をした涼は小さくそう呟くと ｢仕方ねぇな｣ と言い、スマホを触り出す。 何が俺からだったのか…不思議に思いながら涼を見ていると ｢ほれ、つっきーの連絡先｣ ｢…え？｣ ｢俺から連絡するより、お前からの方がいいだろ？｣ そう言って、涼はスマホを僕の手に置くと残っていたパンを一口でパクッと食べた。 ビックリする僕をみてふふっと小さく笑うと ｢早くしねぇと、つっきーどっか行っちゃうぞ？｣ そうニヤニヤしながら言う涼に急かされ、小さく息を吐くと、震える手で河木くんのIDをスマホに打ち込んだ。