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画面に浮かぶ 『夏喜』の文字。
アイコンにはサッカーボールが映し出されていて、河木くんらしいアイコンに思わず頬が緩みそうになった。
「ニヤニヤしてないで、早く約束取りつけろよ」
「に、ニヤニヤなんか…」
表情筋が緩みっぱなしの涼に言われたくない…
けど、確かに予定があるかもしれないと思い急いでトーク画面をタップする。
(…め、迷惑…かな)
よくよく考えてみれば、今日はクリスマスイブの次の日。
つまり、クリスマス当日だ。
昨日の今日って言うのは勿論だが、この日に予定が入っていない方が珍しい。
ましてや、人気者の河木くんだ。
誘われていないわけないだろう。
「…冬麻?手、めっちゃ震えてんぞ?」
「あ、え?」
自分の手元を見ると、無意識のうちに小刻みに揺れる手。
けど、これは怖いとかそういうんじゃなくて、緊張から来るものだ。
それを涼も分かっているのかふわりと笑い。
「大丈夫だって、もしつっきーに予定があっても、絶対冬麻を優先するから」
(い、いや…そういう事じゃないんだけど…)
きっと緊張を煩わすために言ってくれたんだろうけど、あまりにも無理のある話だ。
反応に迷う僕を見て、本気に捉えてないと気付いたのかムッとした顔を見せる涼。
「いいから!早く打て!!」
グダグダしてる僕に呆れたのか喝を入れられ、その勢いのまま僕は急いでメッセージを打った。
「…よし」
涼が小さくそう言った時には送信ボタンを押していて…
「はぁぁぁ……」
今日一日分の大量を使い果たしてしまったような…
そんな、疲れが僕に一気に押しかかってきた。
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