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「どうする?ファミレスとか入る?」
そう言い、いつものファミレスを指さした河木くん。
提案という形の言葉だが、僕をみるその目はまるで何かを懇願する犬みたいに目を潤ませ袖を小さく引っ張る。
きっと、寒さから避難したいのだろう。
少しだけ強がってる河木くんが可愛らしい。
「うん、行こ」
短く返事をした僕に河木くんは笑いかけると僕の手を取った。
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「お席にご案内します」
クリスマスだからだろうか、特別な日にわざわざ来ることの無いファミレス内は誰も居なく、明るい音楽だけが静かな空間を包み込んでいる。
「なんか食べる?」
席に着くとメニューを開き、僕に差し出してくれる河木くんだが、正直涼が出してくれた朝ご飯がまだ消化しきっていない。
「ううん、コーヒーだけ飲もうかな…」
「じゃあ、俺もコーヒー」
パタンとメニューを閉じ、素早く定員さんを呼ぶ河木くん。
いつもは忙しそうな定員さんも今日は暇なのか、直ぐに注文をとり、コーヒーを二つ持ってきた。
「…それで、話って?」
コーヒーを一口のみ、定員さんが裏に帰ると落ち着いた声で本題に切り出す河木くん。
そうだ。今日は、河木くんに話をしようと思って呼んだんだった。
少しだけザワつく心を落ち着かせるため、もう一口コーヒーを飲む。
「話っていうのはね…」
本当は邪魔でいらない眼鏡を、
また僕はクイッと上にあげるんだ。
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