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正直、河木くんと話をしなければと思いつつ、何を話したら良いのか全く分からなかった。 中学での過去については、きっと涼が全て話してくれているし、今日こうして来てくれたことで嫌われたわけでもないと知ることも出来た。 なら、何を話せば良いのか。 昨日の夜ずっと、サンタの来ない夜に考え込んだ。 そこで見つけ出した、僕の答え。 今の僕が選ぶ、一つの答え。 それは、 「入学式の日のこと…覚えてる?」 「…え?」 河木くんと出会った日、 涼も知らない かつての友人も知らない、 僕だけが知ってる、 僕の心のうちだけが感じた 誰にも話したことの無い “過去”のこと。 河木くんは少しだけ不思議そうな、そして真剣な目をして、僕の目を見てくれる。 その目に何故か安心感を覚え、僕はゆっくりと口を開けた。 「入学式の朝、未来に希望なんて何もなかった。」 本当は行くはずじゃなかった高校に、人と関わりたくない僕。 不安と絶望を感じながら向かった、入学式の朝。 「過去の悲しみと痛い思い出だけが身体と心を駆け巡って、学校に着くのもやっと」 重い足を引きずらせ、教室に入ると余計に感じる、 僕と真逆なキラキラした生徒たち。 「余計に感じた絶望と人の恐怖に、逃げ出したくて堪らなかった。」 「全員がアイツらと重なって、トラウマに心が壊れそうだった」 河木くんの目に少しだけ悲しみの色が浮かぶ。 その目に胸を少し痛めながら、僕は小さく息を吐いた。 「誰にも見つからない、路上に生えてる一本の雑草になろうと思った」 「…雑草?」 「そう、雑草」 ならないと生きていけないと思った。 誰に踏まれても、倒れない 踏んだ相手も罪悪感に包まれない 傷つかず静かに耐えていける、そんな存在に なろうと…思っていた。 なのに、 出会った。 出会ってしまった。 今の僕を作り上げた人に。 心を掴んで離さない人に。 唯一 これから先、僕の心を 粉々に潰すことが出来る人に。 「僕は向日葵と出会った」

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