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第17章 miracle ~奇跡~
「…え?」
びっくりした顔を見せる河木くん。
そりゃそうか、突然「向日葵と出会った」なんてトンチンカンなこと言われたんだから。
「えっと…雑草が羽野…なんだよね?」
頭の中を整理するように、戸惑いの色を見せながら僕に問いかける。
「うん」
「…え、じゃあ…向日葵って?」
そう言って、僕の目を見る河木くんの目は、全く分からない…といった目ではない。
きっと、薄々感ずいている。
感ずいてるから…、河木くんの瞳は揺れているんだろう。
「河木くんだよ」
途端に、河木くんの揺れていた瞳が真っ直ぐと僕の目に突き刺さる。
(やっぱ、この目には慣れない…)
入学式、河木くんと出会った時から、これからもずっと慣れてなんてくれない。
ただ、その目にずっと“捕らえられていたい”なんて思ってしまうのは、図々しくなった証拠だろうか。
「河木くんと出会って、僕の人生は大きく変わったんだ」
何もかも変わった。
僕を取り巻く環境も、感情も、勇気も
本当に信頼出来る人が僕にはいるんだって、知ることが出来た。
けど、それを知ることが出来たのは全て、あの“入学式”が始まり。
「河木くんに助けて貰った、入学式の日
河木くんはね、信頼とか勇気とか沢山の源をくれる前に、特別な感情をくれたんだ」
そう、そこから全て始まった。
今まで感じたことの無い、心のどこかで探していた特別な感情。
「“恋”という感情を…河木くんはくれた」
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