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ガチャンッ 「…っ」 羽野の体が机に当たった振動でコップが倒れる。 その音と零れた液体にハッとしてそのまま手を離した。 (今…何しようとしてた) 衝動的に、無意識のうちに起こした自分の行動は本能的なもので 自分の頭の方が行動に追いついていない。 今、ここに机がなかったら 飲み物がなかったら… 俺は何をしていた。 「か、河木…くん?」 ドクンッ 俺は、羽野を 抱きしめようと…してた ガタンッ 「ごめん…」 「え、か…河木く…」 自分の無意識な行動に心が追いついてなくて、不思議そうに顔を覗き込む羽野に…耐えきれなくなって思わず立ち上がり、席を飛び出す。 驚く羽野に罪悪感を抱きながらも、このままここにいたら…自分は何をするか分からない。 カウンターに千円札を置き、ファミレスの外へと飛び出すと、普段なら耐えきれない外の寒さも無視して、ただひたすらに足を動かした。 走ってる間もグルグルと色んな思いが溢れ出る頭の中。 何かしでかす前に気持ちを伝えれば良いと言われればそうかもしれない。 きっと、まだ羽野は俺の事を思ってくれている。 けど… グイッ 突然、動き続けていた足が止まる。 「…はぁはぁ」 それと同時に感じる、背中の暖かい温もり。 「…は、の?」 ふんわりと漂う優しい匂いに、羽野と気付くにはそう遅くなかった。

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