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羽野との出会いは、どんなのだっけ…
確か、入学式の日に陽斗から賢い人が俺のクラスにいるってことを教えて貰って
蓮から、その人の苗字はハ行であることを聞いた。
その時は、
(そんな賢い人が同じクラスだなんて凄いなぁ)
程度にしか考えてなかったけど
吃りながら怯えながら自己紹介をする羽野を見て
『はい!!』
手を挙げていた。
後にその話を二人にしたらビックリされたっけ?
『つっきーがそんな事するなんて珍しい』だの『入学式早々目立つ』だの…
自分でも何でこんな行動したのか、よく分からなかった。
無意識だった。
同じクラスでハ行の奴なんて他にも沢山いるのに、賭けだったのかもしれない。
いや、賭けと思う間もなく手を挙げて、それを聞く運命だったかのように
口から自然と質問が盛れていた。
今思えば、もしかしたら
“出会った時から羽野に恋する運命だったのかもしれない。”
なんて、思ってしまうのは都合のいい思い込みだろうか…
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「心が寂しい」
少し声を震わせながら小さく気持ちを話す羽野。
あぁ…、俺はどこまで羽野を悲しませるんだろう。
俺は何をしていたんだ。
気持ちを伝えるタイミングがなかったとしても、羽野の気持ちを考えたら
今日出会った時でも、直ぐに気持ちを伝えるべきだった。
「ねぇ、羽野」
羽野の傍にそっと近寄る。
「今、ここで羽野の気持ちに答えてもいい?」
羽野の肩が小さく揺れた。
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