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(羽野side) 気持ちを…伝える それがどういう意味なのか恋愛に鈍いと言われる僕でも流石に分かる。 (いよいよ、振られるのかな) そりゃ、答えはいつでも良いって言ったのに、これじゃ早く答えをくれって言ってるもんだもんな… ジワッ (あ、やばい…) 「え、は、羽野?」 「…っ、ごめ」 止めなきゃ こんなとこで泣いてたら、余計河木くんを困らせてしまう。 河木くんを困らせたくない。 嫌われたくない。 フワッ 河木くんの顔がスローモーションで近付くのを感じ、思わずギュッと目を瞑る。 頭に優しく何かが当たるのを感じた。 それが唇だと気付くまで、どれくらい時間が経ったのだろう ゆっくり目を開けるとそれと同時に離れていく河木くん。 「…落ち着いた?」 柔らかく微笑む河木くんに、また涙が溢れそうになったが小さく首を縦に振った。 (ちゃんと、聞こう) それがどんなに残酷な答えでも、立ち直れなくぐらい心が痛みつけられても 河木くんからの言葉は全部聞きたい。 「俺はね」 さようなら、大好きな人 「羽野のことが好きだよ」 (…え) ふんわりと少しだけ止みかけていた雪が、またゆらゆらと舞い落ちる。 (今、なんて…) 今更ドクドクと鳴り出す煩い胸を抑えながら顔をゆっくり上げると 季節に似合わない、向日葵の様な笑顔を見せた河木くんが立っていた。

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