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ドタバタなクリスマスから一日が経ち、俺一人じゃ羽野を襲いかねないと言う理由で蓮と共に、羽野の看病をする事になった。 「ねー、洗濯機ってどうやって使うの?」 「……」 とは言っても、実質看病してるのは俺だけで、ほとんど蓮は羽野の部屋にいる時の見張り役。 「お前なんでご飯は作れんのに、他の家事は全く出来ないんだよ」 「そんなスペックなくても、俺はモテるからいいの」 いや、家事ってモテるための特技じゃねぇだろ… そんな事を思いながら、蓮が投げ出した洗濯物と向き合い、洗う服を入れていると 「付き合うことになったんだって」 「えっ?…あ、…うん」 急に真面目な声して大事な話をぶっ込んできた。 「おめでとう」 「あ、ありがとう…」 蓮に「おめでとう」なんて言われること、中々ない分、少し照れくさくなって止まりかけていた手を急いで動かす。 「幸せにしてあげなよ、マジで。分かってると思うし、夏喜に限って絶対そんな事はないと思うけど……、傷つけたら殺す」 「殺す」というワードに、思わず手を止め蓮の方に振り返った。 (何て顔してんだよ…) その表情は、一件無表情で冷たい顔をしているが、その目は哀しい色を含んでいて 俺に対する脅迫じゃない、幸せにしてくれと…懇願するような目をしていた。 「…分かってるよ、そんなの傷つけてたまるか」 不安気な蓮の肩にそっと手をあて、安心させるよう決意を声に出す。 何が蓮をそこまで不安にさせてるのかは分からない。 羽野の過去を知ったからか、俺が自分の気持ちに気付く以前から、羽野を応援していたからか、ただ単純に羽野の事が大好きだからか… それとも、蓮の過去に理由があるのか… 「ま、もし夏喜が浮気しても、俺が冬麻くん貰ってあげるから安心しなって」 俺の手を振り払い、ニヤッと笑った蓮の目には哀しい色はなく いつもの蓮に戻っていた。

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