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第7話
先生の住所を確認することは容易であった。
先生が本を売りに来る際、本人確認のため免許証の提示が必要であり、僕がたまたま接客した際に覚えたのだ。
先生は以前から本を売りに来る機会が多かった。献本なのだろうか。とにかく免許証をたくさん見て先生の本名も知った。
臼井久幸 。
しっくりこない。
僕はこれからも先生と呼ぶことにする。
住所がわかったら実際に行ってみたくなる。だから大学帰りでバイトも入っていない日に行ってみた。勤務先から車で四十分くらいかかり、意外と遠かった。
先生の住まいは閑静な住宅地にたたずむ六階建てのマンションで、部屋数のわりに住人は少なそうに見えた。マンションの近くに車を停め、徒歩で近づいてみた。
だが建物名はわかっても部屋番号までは覚えていなかった。駄目元で集合ポストを確認するが、自分の名前を書くような人ではないとわかっていた。
今日のところは先生の生活区域だけでも観察できたから良しとする。
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