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第8話

 どよめきと拍手が、生徒たちの間から沸き上がった。  当の伸也は、目を白黒させている。 「梶くんは、何かと理由を付けては僕に話しかけてきます。購買でヤキソバパンを買って来い、と言うこともあります。でもそれは、好きな人ほど苛めたい、という愛情の裏返しなんです!」  これ以上はいかん、と教師はマイクの電源を切った。  途端に小さくなった努の声に、教師へのブーイングが起きる。  それでも努は、肉声で叫び続けた。 「鞄を持たされて、家まで送らされます。でもそれは『上がって行けよ』と言うチャンスを狙っているんです!」 「明石、もういい。やめなさい!」 「梶くん、僕は全部解ってるんだからね! 君が僕を好きなんだってこと!」  そこまでで、努は教師に腕を引かれて壇上から下ろされた。  しかし、盛大な拍手はしばらく鳴りやまなかった。  伸也は、いつのまにかその場から逃げていた。

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