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第10話
「いつからだよ」
「え?」
「俺がお前に惚れてる、って、いつから気づいてたんだよ」
「ええええッ!」
そんな!
でっち上げの作文が、まさか的を得ていたなんて!
伸也は努の隣まで歩いて来て、その肩を抱いた。
「まぁ、全校生徒の前でバラされちまったら、逃げも隠れもできねえな」
鞄、持ってやるよ。
そう言って、伸也は努の重い鞄をひょいとさらった。
「い、いいよ。自分で持つから」
「俺たち、もう公認の仲だな。これからも、よろしく頼むぜ」
伸也は照れて、頬を赤くしている。
(そんなぁ~!)
伸也を陥れるはずの策に、まさか自分がはまるとは!
それでも、口笛を吹きながら軽やかに歩く伸也の隣にいるのは、悪い気分じゃない。
これは卒業まで、付きまとわれるかな。
「よろしく、梶くん」
「おう、努」
二人は並んで、夕焼けの小道を歩いて行った。
その影は、仲良く繋がっていた。
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