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第3話

「ペナルティ3の生徒がきます。柵に手をかけた者から抑制剤を注射してください」  スマホで状況を録画している教師が、簡易注射器を箱から出している教師に呼びかけた。  狼に獣化した生徒が、最初に鉄柵に飛びかかる。頑丈な柵がガシャンと大きな音を立てて揺れた。  吠え声に刺激されるように、他の獣化した生徒らも次々に柵に体あたりしてくる。  夕侑はそれを熱に浮かされた目で見つめた。  彼らの狂ったような性欲が手に取るように伝わってくる。そして、呼ばれるように自分の中からも欲望が燃えたつ。  ――襲って欲しい、犯して欲しい、というおぞましい願いが。 一匹の熊が、鉄製の柵を力ずくで壊してしまうと、あいた空間から獣たちが中に入りこんできた。 「まずいぞ! 抑制剤を早く!」  教師のひとりが大声で叫ぶ。  しかし間にあわず、夕侑の入っている檻に獣たちが続々と襲いかかってきた。何匹もの獣が四方八方から檻を揺さぶる。  檻は頑丈だったが、夕侑は中でよろめいた。ハイエナが隙間から前足を突っこみ、制服を引き裂く。逃げようとすると、反対側から狼に同じように襲われた。  服はあっという間に破かれてしまい、ほぼ全裸になった夕侑は檻の真ん中にへたりこんだ。  夕侑の腰から下には、頑丈な貞操帯がはめられている。細いビキニのような形状のそれは、鋼とカーボンファイバーを使用した特注品だ。  恥ずかしさと怖ろしさ、そして身のうちからわき出る欲望に苦しみながら身体を丸める。  早く終わって欲しい、早くしずまって欲しい。こんな地獄のような苦しみは耐えられない。 「グオオオゥゥッ」  震えながら目をとじていると、ひときわ高い吠え声が聞こえてきた。群れる獣らのどの声よりも強く、威容に満ちた咆哮が耳に届く。  瞼をあげれば、檻にはりつく獣らに次々と噛みつき、遠くに放り投げる獅子の姿が目に入った。  栗色のたてがみをひるがえし、牙をむき強靱な筋肉を波打たせて闘っている。その姿は獣たちの中でも一番雄々しい。  やがて荒ぶる獣らに順々に抑制剤の注射が打たれ、ヒトの姿に戻っていくと、最後に檻の真上に君臨していた獅子も、しなやかな身のこなしで地面におりて素直に教師から注射を打たれた。  すると獅子は、ゆらりと身を崩し、堅強な肉体を持つひとりの男へと姿を変えた。  高い背丈に、ミドルショートの栗色の髪。後ろ姿のため表情は見えないが、素裸の肢体は、人になってもなお王者の風格を漂わせている。  夕侑は男に激しい情欲を覚え、それにのまれるようにして意識を失った。

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