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第11話
「貞操帯を壊さないように。挿入だけはするんじゃないぞ」
神永が声を強めて注意する。
「わかってますよ。俺たちはまださっきの抑制剤が効いてますからね」
獅旺はニヤリと笑うと、白原と共に保健室を出た。恐怖に顔を青くする夕侑に、白原が背をさすってくる。
「大丈夫。気持ちよくするだけだから。君、誰かと経験はあるの?」
「ないです、そんなの……ない」
「それはいい」
夕侑の言葉に、獅旺が満足げに呟いた。
獅旺と白原は、寮の裏口から外に出ると、数メートル先にある大きなコンテナの前に立った。
大型トラックの荷台のような建物は窓もなく、入り口はひとつだけだ。中はバストイレつきの1Kとなっている。
白原は金属製の厚い扉をあけると中に入って明かりをつけ、獅旺と夕侑を入れてから鍵をかけた。
「服を脱ぐんだ」
獅旺がベッドの前に夕侑をおろして、自分もブレザーを脱ぎながら命令する。
夕侑はおよび腰で後ずさった。
「どうした? まさか俺たちに脱がせてもらいたいわけじゃないだろう」
尊大な態度は、夕侑に自分の立場を思い出させる。
アルファとオメガ。獅子族とヒト族。上級生と下級生。御曹司と孤児。どれを取っても、夕侑に逆らえる要素などない。
羞恥と怒りに顔が赤くなり、惨めさに涙がにじむ。しかし、このままフェロモンをたれ流しているわけにもいかない。
仕方なく夕侑は着ていた学校指定のジャージを脱いだ。下着を取ると、貞操帯ともうひとつ、太い首輪だけになる。
首輪はうなじを守るためのものだった。
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