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第13話

「――ぇ」  いきなり獅旺がふたりの間に割りこみ、夕侑をさらっていく。ベッドに押し倒されて、唇が重なった。 「――んんッ」  何をされたのかと目をみはる。  獅旺は大柄な身体で夕侑にのしかかり、深く口づけていた。熱くて肉厚な唇が押しつけられ、ひらいた口に舌がねじこまれる。乱暴な仕草は、夕侑の発情をビリビリと刺激した。 「ぁ……はッ」  両腕をきつく掴まれているので、逃げることができない。獅旺は噛みつくように夕侑の口内を食んできた。まるで獣そのものだ。  互いの舌と唾液が絡まり、それが快楽神経を震撼させる。胸をえぐるような快感が、全身にほとばしった。 「――ぃやっ」  けれど獅旺の姿に獅子の影がよぎると、夕侑は突然の恐怖に襲われて、相手を強く拒否した。 「イヤだっ、イヤ、イヤやめてッ」  力のかぎりあばれて逃れようとする。本気の拒絶に、獅旺も襲う手をとめて顔を離し、夕侑を見おろしてきた。 「――うっ、や、ヤダ、こ、怖い……」  獅子のオーラが目の前で揺れている。獅旺が獣に変化しかけているのだ。  夕侑が小刻みに身を震わせると、獅旺もようやく我に返ったらしく冷静になった。 「クソっ」  口汚く叫んで身を起こす。そしてベッドをおり、呆れ顔で立っている白原の横を通りすぎた。 「まったく、君らしくないな」  白原の言葉に、何も返さず獅旺は壁際まで歩いていった。  そこで腕をくんで壁にもたれるとムスリと黙りこむ。

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