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第14話 *

 獅旺が傍観する姿勢を見せたので、白原は再び夕侑の元へとやってきた。ベッドにのりあげ夕侑の腕をさすってくる。 「大丈夫かい?」  優しい口調で、こわばった気持ちをほぐそうとしてくれた。 「ビックリしただろう。いつもは冷静な奴なんだけどね。君のフェロモンに負けたんだな」  夕侑は離れた場所に立つ獅旺に視線を移した。獅旺は欲情をおさえた顔でこちらを見ている。  いったい何を考えて彼はあんなことをしたのか。いや、考えることができずに行動したのだ。  そう思うと、夕侑は自分のフェロモンがそら怖ろしくなった。 「さあ、こっちを見て。楽になろう」  白原にささやかれて、夕侑は彼と向きあった。  相手の唇がゆっくり近づいてくる。反射的に、唇をギュッととじてしまった。拒否するような反応に白原が眉をあげる。 「そうか。じゃあ、口にキスはやめとこう。僕も獅旺と間接キスはイヤだからさ」 「……すみません」  思いやりのある言い方に、夕侑は白原に素直にしたがう気持ちになっていった。  そっとベッドに寝かされて、首筋に口づけられる。獅旺とはまったく違う、甘く丁寧な愛撫だった。 「……ん」  夕侑は今まで誰ともこんな行為をしたことがない。もちろんキスも初めてだ。  ぎこちなく白原の手に反応すると、相手は目を細めて嬉しそうに笑った。 「ヒト族は、本当に可愛いね。獣人に食べられるために存在するようなものだ」  胸にもキスをされる。肌を順々に啄まれて、くすぐったい快感に包まれた。  けれど、獅旺のときのような胸の昂りはない。ただ単純に、身体が刺激に応えているような感覚だった。  それに戸惑っていると、白原の手が股間にのびてくる。

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