18 / 112

第18話 *

「……ああ、ァ、ああ……ん、ぃ、いい……」  自分とは思えないか弱い声がもれる。  いつもは、たとえオメガであっても、理性的に礼儀正しく生きていこうと心がけているのに、そんな意思もアルファに与えられる快楽に簡単に崩壊してしまう。  悲しい。けれど、信じられないくらい気持ちがいい。 「ああ、ぁ、や、いく……やめて、もう、もぉ願いですから……っ」 「いくんだよ。そのためにヤってるんだから」  獅旺の冷徹な言い草に、夕侑の目に涙がにじむ。 「ひど……」 「いけば、楽になるだろう?」  男らしい声が欲情に昂ぶっている。それに反応して性器と後孔がビクンビクンと波打った。 「ぁ、は――」  身体中をなぶられて、波にさらわれるように一気に高みに連れていかれる。  夕侑は全身を痙攣させ、激しく逐情した。 「あアッ――やだっ、……――ん、んん、ぅッ…………」 「――っ、すごい匂いだ」  獅旺も声を掠れさせて追うように射精する。熱い飛沫が、尾てい骨にかかるのがわかった。 「ああ、甘い」  夕侑の精液を舌で受けとめた白原も、恍惚とした表情になる。 「やばいよ。このフェロモンは。中毒になる。今までの獣人オメガの奨学生と全然違う、――っ」  リングに歯を立てながら身を震わせて、白原も際をこえる。獣のような唸り声をあげつつ、白濁した体液を大量に放出した。 「ヒト族を舐めてたな。この子は魔性のオメガだ」  白原の目つきが変わる。底知れぬ情欲と独占欲がそこにはあった。 「ああ。俺もおかしくなりそうだ」  獅旺が夕侑のあごを掴んで、自分のほうを振り向かせる。  間近にせまった顔には、白原と同じく支配欲に乱れた瞳が、爛々と輝いていた。 「……ぁ」  獅旺が唇を合わせてくる。力強く夕侑の唇を食み、そして上唇の裏を舐めてくる。 「……ん、ぁ」  ぞくぞくとした愉悦が背筋を走り、下肢が再び疼いてくるのがわかった。  底なしに、この人が欲しくなる。  夕侑の瞳がトロリと緩んできたのを見て、獅旺の目元がほんのわずか嬉しそうに細められる。  その魅力的な容貌に、胸は禁忌の痛みと、憧憬の狭間に大きく軋んだ。

ともだちにシェアしよう!