何時間、三人の荒い息づかいが狭い部屋に充満していただろうか。 　休むことなく獣のように絡みあいながら、最後は夕侑も意識が飛んだ状態で腰を振らされた。 　目覚めたときは、夕侑ひとりだった。 　身体はきれいに拭われ、上がけが丁寧にかけられている。全身が重くけだるかったが、頭と下半身は妙にすっきりとしていた。 　夕侑はベッドから起きあがると、シェルター内のシャワーを使って身体を洗い、脱ぎ捨ててあったジャージを身につけて外に出た。 　空は秋の夕暮れ色だった。いったい何時間、中にいたのだろう。 　学生寮内にある保健室に戻ると、神永が机に向かって書きものをしていた。 「やあ、目が覚めたかい」 　診療用の椅子に座るようにすすめられて、腰をおろしながらたずねる。 「どれくらい、シェルターに入ってましたか」 「丸一日だね」 「そうですか」 　神永の答えに驚く。 　いつもならば、発情をおさめるのには一週間はかかっていたのに。 「やはりアルファになだめてもらうと効果はあるね」 　フェロモンカウンターを夕侑の首元にあてて数値を測る。 「うん。平常値に戻ってる」 　カルテに結果を書きこみつつ、神永が話を続けた。 「昨日から考えていたんだが、この結果を理事長に報告して、納得してもらえたら次回の訓練からは今回と同様の措置を内密に取るかもしれない」 　つまり、また白原と獅旺に相手をしてもらうということだ。 「……」 　夕侑は無言でうなずいた。オメガに決定権はない。 「じゃあ、明日から普段通りに授業に出てもいいよ」 「はい。ありがとうございました」 　神永に許可をもらってから、保健室を出る。 　夕侑は自分でも驚くほどかるくなった身体で、廊下を歩いていった。