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第43話 休日の遊園地
その週の日曜日は、秋晴れのよい天気となった。
雲ひとつない絶好の行楽日和に、夕侑は嬉しくなって、朝からソワソワと服装や持ち物の準備をした。抑制剤も忘れずディバッグに入れる。服はたいしたものを持っていなかったが、それでも一番いいものを出してきて着た。
そうしていたら、部屋のインターホンが鳴った。
「はい」
「準備ができでいたらいくぞ」
「はい」
答える声も、自然と明るくなる。ドアをあけるとそこには、私服姿の獅旺が立っていた。
今日の彼は、白無地の長袖シャツに、黒のデニムパンツ、それに薄手の紺色パーカーという恰好だ。着飾ってはいないが、上質なものを身につけているのだけはよくわかる。そして顔立ちの派手な彼に、シンプルな装いはとても似合っていた。
「正面玄関に車がきてる」
「えっ? 車ですか」
てっきり電車とバスで移動するものだとばかり思っていた夕侑は驚いた。
「ああ、うちの運転手をよこした。その方が早いし、何かあったときに便利だ」
もしかしたら、夕侑の体調を考えて手配してくれたのだろうか。
「すいません、ありがとうございます」
「礼なんていらない。連れていけと言ったのは俺だから」
けれどわざわざ車の手配までしてもらったのだ。そういう贅沢に慣れていない夕侑は、少し申し訳なく感じてしまった。それが顔に出たのか、獅旺が夕侑を見ながら言う。
「気にするな。お前は今日一日、俺のガイドに専念していればいい」
上からな物言いだけど、そこには優しさも含まれているようで、夕侑は胸をちょっとときめかせてしまった。
ふたりで寮を出ると、正門前に大きな黒塗りの外国車がとまっていた。街で走っているのを見かけたことはあるが、乗ったことはない高級車だ。
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