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第46話
ゲートを通って園内に入れば、そこには夢の空間が広がっている。日曜日の遊園地は、たくさんの子供連れやカップルでにぎわっていた。
晴れわたった秋空に向かって揺れる風船、明るくてポップな音楽、カラフルな乗り物たち。
獅旺は首をめぐらせ、それらを物珍しげに眺めた。
「ショーの開始までまだ時間があるな。何か乗るか」
「はい」
離れた場所で、ジェットコースターが音を立てて走っている。高い場所から車体が高速で滑り落ちると、歓声と嬌声がここまで聞こえてきた。
「あれがいい」
目を輝かせて言う獅旺に、夕侑も思わず微笑んだ。
「はい」
そうして、まずふたりでジェットコースターに乗った。急速回転しながら走る乗り物に、夕侑は一回で目を回してしまったのだが、獅旺は気に入ったらしく連続で三回も乗りこんだ。
その次はフリーフォール。そしてパイレーツ。獅旺はスリルのある乗り物が好きらしく、そればかりを選んでいく。何度乗ってもケロリとしている彼に、つきそう夕侑の方は数回でヘトヘトになってしまった。
「あれも乗ろう」
大型の船が、グルングルンと三百六十度旋回しているアトラクションを指さされて、さすがに夕侑は顔を青くした。
「……あの、獅旺さん。僕、ちょっと休憩しているので、どうぞ、おひとりで乗ってきてください」
獣人の体力についていけず、そうお願いすると獅旺はやっと夕侑の体調に気がついたようだった。
「どうした? もう疲れたのか?」
「少し……。三半規管がパニックになりかけてて」
せっかくの楽しい時間に水をさしたくなくて、冗談めかして言う。そんな夕侑を、獅旺はじっと観察してきた。
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