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第47話

「なら、少し休憩しよう」  と提案を変える。 「ヒトというのは、俺たちよりも弱い生き物だということを忘れていた」  夕侑の顔色がよくないのを確認して、少し反省するように呟いた。優しい気遣いに、胸がトクン……と波打つ。そこから波紋のように、温かな感情が広がっていった。  横を見あげれば、精悍な容姿の獅子の化身が、自分を守るように立っている。夕侑は気持ちが昂揚するのをおさえることができなくなった。 「すいません」 「いい。俺もちょうど喉がかわいた」  言いながら、夕侑を近くの売店へと連れていく。獅旺のおごりでタピオカドリンクを買って、ベンチに座って休憩した。 「これ、美味しいですね」  タピオカドリンクを初めて飲んだ夕侑は、はやりの不思議な飲み物がすっかり気に入った。黒い粒々は餅のようなグミのような変わった食感だ。 「ダナンのリゾートで飲んだのと、少し味が違うな」  獅旺が飲んでいたカップのラベルを確認しながら呟く。彼のは紅茶味で、夕侑は抹茶味だった。 「お前のも、ちょっと飲ませてみろ」 「えっ」  獅旺はそう言って、夕侑のカップと自分のカップを勝手に交換した。 「こっちのほうが美味いな」  抹茶味を飲みながらうなずく。  さっきまで自分が使っていたストローに、平気な顔で口を付ける獅旺に、夕侑はドキドキした。

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