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第55話

「地下にそのためのラボを作っている。サニーマンも、自分の立派な屋敷の地下に研究室を持ってただろ? 彼は中性子エネルギーをパワースーツの源に使っていたが、それは実用的じゃないから、俺はもっと別の方法を探している。武器やアイテムも、オリジナルなものを開発中だ。もちろん正義の味方だから法律に違反しないものを作らないといけないけどな」  子供の夢としか思えないような計画を嬉々として語る獅旺に、けれど夕侑は幻滅したりはしなかった。  むしろ、今までよりずっと親しみがわいて素敵だと思った。 「すごいですね」  夕侑が笑い返すと、獅旺が言葉をとめる。  そして、陽光さす夕侑の顔をじっと見つめてきた。  夕侑も何も言わず、相手を見つめ返す。男らしい端整な面立ちが、今はなぜかとても甘い。  獅旺が手をのばして、夕侑の頬に触れてくる。ほんのわずか指の背でなでられて、心がざわめいた。  どうしてだろう。もう、逃げたいと、怖いと思わなくなってきている。代わりに、もっと近づきたいと感じ始めている。  ――え。  その瞬間、ドクンと稲妻が落ちてきたように、全身がわなないた。 「……ぁ」  怖気と熱気が、同時に体内から発生する。  コントロールを失った神経と器官が、勝手にあばれ出すような感覚がやってくる。  夕侑は臓腑からあふれ出るものをかき集めるようにして、自身を抱きしめた。  ――発情だ。  どうして。急に。まだそんな時期じゃないのに。 「……ぁ、ぁ」 「どうした?」

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