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第80話 すれ違うふたり*
翌日、予定通り、発情がやってきた。
訓練が前回と同様に行われ、夕侑は檻の中でバーストした生徒らが抑制剤で正気に戻るのを待った。夕侑にも抑制剤が投与されたが、やはり効き目はなかった。
「じゃあ、今日は僕だけで、ゆっくりなだめてあげるよ」
ほてる身体を持てあます夕侑を、白原が嬉しそうに抱きあげる。そしてシェルターに入った。
獅旺は訓練中もその後も姿を現さなかった。最後まで、どこかにいったままだった。
シェルターのベッドに、白原の手で横たえられる。触れてくる手が獅旺でないことに、夕侑は発情にのまれながらも、つらくて胸がはり裂けそうになった。
自分でこうなるように仕向けたのに。絆を断ち切って、好きでもない相手に身をまかすことを彼の前で望んだくせに。
「……うっ」
こらえようにも声がもれてしまう。悲しみと、あさましい快楽のために。
白原が夕侑の服を脱がし、自分も裸になる。肌に相手の手が触れてくると、どうしようもない拒否感に皮膚が粟立った。
「感じているんだ。嬉しいね」
違う。けれど、言葉にはしなかった。
「ほら、見てごらん。もうココも、こんなになってる」
白原が、性器を包む重なったリングに指をそえる。それを下から順に、楽器を鳴らすように揺らした。
「あアッ――」
いきなりきつい快感に襲われて、ビクビクッと背をそらせる。夕侑のあだめいた仕草に、白原の目が色欲に輝き出した。
「いいね、いい。すごく、そそるよ」
目の前の男からいつもの優しさが消えて、獣の本性が現れてくる。舌なめずりする表情で夕侑の下肢を乱暴に割りひらくと、後孔に自身の昂ぶった肉棒を押しあててきた。
しかし貞操帯が邪魔をして、先に進むことはできない。
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