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第82話 *

「し、し、しぉぅ、さ……」  夕侑の声に応えるように、耳の奥で、自分を呼ぶ吠え声が聞こえてくるような気がした。低く長く、悲しみをこめた声で、彼がどこかで啼いている。  きっと、森の奥だ。今ごろ彼はひとりで森を駆け、苦しみに喘いでいる。夕侑が白原に抱かれているのをわかっているから、そして夕侑のフェロモンはまだ学園に漂っているから。 「やだ、いや、ァ、や、こんな、の、やだ……っ」  なぜ彼を傷つけてしまったのか。こんな形で。他の方法はなかったのか。けれど、後悔してももう遅い。 「いやなわけないよな。こんなに感じまくってるのに。いいだろ?」 「う、ううっ、い、や、……ん、――ぁ、はぁッ」  白原が夕侑の性器をいたぶる。するとどうしようもなく感じてしまう。 「ああ、ああ、……いい、や、や、あァ、いい、やだ、いい、やめて、もう、イイッ……あ、アアっ、いい、いく、そこ、いく……っ」  絶頂がやってきて、身体は高みに、心はどん底に墜ちていった。 「さあいきな。気持ちいいんだろう?」 「ああ、んん、いい――っ」  頭が真っ白になり、泣きながら白濁をまき散らす。全身が痙攣してそれが長い間とまらない。身体が壊れてしまったかのようだった。 「やれやれ、何ていやらしい恰好だ」  尻を高くあげ、リングのはまった性器の先端から精液をこぼす姿を白原はあざ笑う。 「こんなの見せられちゃあ、もうダメだ我慢できない。やっぱり君が全部欲しい」  白原が不穏な様子で、喉の奥を鳴らす。  夕侑の横で何やらごそごそ動いたと思ったら、いきなり脇腹に冷たい金属があてられた。 「――ッ」  次の瞬間、閃光のような電流が全身を走り抜ける。  スタンガン。理解したとき、夕侑は痛みに意識を失った。

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