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第9章~回想人のレチタティーヴォ(中)~

「んー。やっぱ必要かな?武器」 言われた部品を手渡しながら聞こえたその言葉にトウキは首を傾げる。 結局の所トウキはその後休む事無くダツラの手伝いをしていた。 「いや、その方がトウキ君も安心するかな~って。あ、モチロン僕が全力で守るけど 」 珍しく遠慮がちに提案してきたダツラの顔を見てトウキは困ってしまう。 (・・・・言えない・・・です) 武器と言えば断罪の剣が武器なのだがそれを見せるわけにはいかない。 とはいえ墜天使としての力が通用しない相手が現れた今、この姿でも戦えるようにしておかなければならないだろう。 (デリスさんやダツラさんを守る為にも・・・・・!) トウキはダツラの顔を見てしっかりと頷く。 「と言うワケで何か無いかな? 」 複雑な面持ちでダツラはそれを受け取ると、振り向きながら後ろで一服しているカッセキに声を掛ける。 彼としても本当は戦わせたくないのだ。けれどもあの男、クジンが残した言葉が引っ掛っている。あの男の口ぶりではトウキを知っているようだった。 教団から逃れるためトウキを死んだ事になっていたのだが、それがばれたのだろうか。もしそうだとすれば、この少年が持つ能力は教団側としても簡単に手放せる物ではないだろう。 ならばデリスやダツラの傍に居るから、では無くトウキ自信が狙われる可能性も高い。 「そうだな。ソイツは腕が細っこいからな 」 ガラクタの山を漁りながらカッセキは考えていたが、何かを見つけるとそれをダツラに投げてよこす。  一見硝子で出来た犬の置物にも見えるが、手の平に収まるそれは首輪の所が回転できる仕組みに成っている。 「超小型化した水銀爆弾だ。首の所回せば半径1㎞は跡形もねぇぞ」 「うん、ていうか死ぬよね。明らかに自爆用だよね。コレ 」 己が作品を自慢げに語るカッセキとは逆にダツラは冷静なツッコミを入れる。単にツッコミに慣れていないだけなのかもしれないが。 「あとは花火形のヤツか。威力は落ちるが火を付けて30秒待てば爆破する仕組みになってる 」 「30秒間のあいだにやられるよね。この場合 」 緊迫した戦いの中で突然花火に火を付け出したら相手も動きを止めるかも知れないが。 「それ以外だとあとは無いな。今の所は。まあ、そいつの分もついでに作っといてやるよ 」 2人のやり取りを見ていたトウキに近づくとカッセキは白い髪の毛を一括り薄紫の紐で纏(まと)める。 「・・・・・・・・?」 訳も分からずに動けずに居るトウキなど気にも留めない様子で、カッセキはしばらく考え込んでいたが結び目を緩めると再び作業に戻ってしまう。 「少し時間がかかるぜ。まあ、だいたいは理解できた」 「?」 今の行動で一体何を理解したの、半場パニック状態のトウキは困った顔でカッセキとダツラを何度も見比べる。 「深く考えない方がいいよ 」 流石のダツラも真意は解読出来ず半笑いでそう答えるしかなかった。

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