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第11話
まだ声変わりの済んでいない、愛らしい響きを持ったその声を聞いたとたん、イナスの口から思いもよらない言葉が飛び出してきた。
「やらせろ」
我ながら巧いこと言ったもんだと思った。
犯されたばかりの人間の心をいたぶるには、これ以上ないくらいの残酷な言葉だ。
リーンの返事を聞くまでは、確かにそう思った。
「いいよ」
イナスの顔に、一瞬にして血が上った。
こいつ、本気か!?
しかし、いまさら慌てふためいて、冗談です、とは口が裂けても言えない。
そんなみっともないこと、できやしない。
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