21 / 36
第20話
「こやつ、やはり意地でも啼かんのだ」
楽しげに笑うナガ。
悪趣味だな、とイナスは唇をかんだ。
そんなリーンをいじめることに、悦びを見出したのだろう。
ためらいながらも、ベッドに上った。
リーンが薄く眼を開き、かすかにうなずいた。
やらなければ、逆らえば、殺される。
腹をくくって、イナスはその腕にリーンを抱いた。
そっと、キスをした。
リーンの唇は柔らかく温かで、ほんのり甘かった。
すぐに唇を離し、その眼をのぞきこんだ。
うつろに開いてはいるが、光は失っていない。
強いな、と思った。
いくらいじめられても、瞳に力を宿している。
ともだちにシェアしよう!