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第20話

「こやつ、やはり意地でも啼かんのだ」  楽しげに笑うナガ。  悪趣味だな、とイナスは唇をかんだ。  そんなリーンをいじめることに、悦びを見出したのだろう。  ためらいながらも、ベッドに上った。  リーンが薄く眼を開き、かすかにうなずいた。  やらなければ、逆らえば、殺される。  腹をくくって、イナスはその腕にリーンを抱いた。  そっと、キスをした。  リーンの唇は柔らかく温かで、ほんのり甘かった。  すぐに唇を離し、その眼をのぞきこんだ。  うつろに開いてはいるが、光は失っていない。  強いな、と思った。  いくらいじめられても、瞳に力を宿している。

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