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変わり始めた関係

「見てるよ、瑛斗の事。僕のためにいつも動いてくれて、守ってくれて、一緒に居てくれる。感謝してるんだよ? 普通、幼馴染ってだけでここまでしてくれないと思うし。ありがとね、瑛斗。瑛斗がいなかったらきっと、僕の人生変わってた」  何故かは分からないが、僕は幽霊が怖かった。  そこにいるだけで恐怖を覚えた、誰かと一緒にいて気を紛らわせていないとダメだった。  だから瑛斗がいなかったらと考えると……もしかしたら僕は、いつでも怯えて、生きている人に対しても恐怖を覚えるようになっていたかもしれない。  感謝しても仕切れないほどに恩のある瑛斗に対して、その気持ちが少しでも伝わるようにと、瑛斗の右手を取って両手でギュッと握りしめた。 「だから少しでも瑛斗の負担が減るように、頑張るね、僕」  白羽くんが言っていた、僕の霊力が垂れ流しになっている件。  だとしたら、今まで霊から奇妙な視線を感じていたのも、このせいなのかもしれない。  それを制御できるようになって、霊からの奇妙な視線もなくなれば、この恐怖も少しは和らぐかもしれない。  せめて一人で行動できるように、瑛斗の負担を少しでも減らせるように。  テスト明け頑張る事を胸に誓い、表明する。 「俺は、お前と楽しいから一緒にいるんだ。全然負担なんて思っちゃいない。でも……お前がそれを、申し訳ないと感じているのなら……俺は、応援する」 「うん、ありがとう」  少し寂しそうに笑んだ瑛斗に笑い、母さんから『遅い』との心配の電話を受け取ったことで急いで僕らは帰路についた。  完全に闇に包まれた中を、急ぎ足の二人の足音だけが響き渡る。  ずっと一緒に居た、幼馴染の存在。  変わらなかった関係、変わらなかった距離感。  それが、白羽くんが現れたことによって変化が生まれ始めている。  そのことに僕は、まだ気づいていなかった。

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