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統率者は…
「特定は出来そうなのか?」
「分からない。そこらにいる霊と話そうとしたら逃げるんだ。多分、俺はそのまとめ上げている奴に『あいつには近づくな』とでも言われているんだろうな」
「なるほど、そこで俺の出番なんだな」
「ああ、頼んだ」
気軽に請け負った晃は、今から喧嘩でもするように「よし」と拳を合わせる。
そして真斗にお守りを預け日陰を抜け、旧校舎に近づいた。
「なあ、そこのお前」
『は、い……俺、ですか?』
「そうだ、お前だ」
旧校舎前を漂っていた男の子に向かって、晃は声を掛けた。
通常、生きた人間が霊に話しかける事など滅多にない。
だから話しかけられた男の子は、戸惑いながらも晃に自身を指さして見せる。
「ここ、滅茶苦茶霊がいっぱいいるよな。見てびっくりしたぜ。でもその割にはまがまがしさもなくて、穏やかなんだよな。誰か統率者でもいるのか?」
『それは、ルカさんの事ですか?』
「ルカ?」
『ええ。ルカさんが『生きている人には手を出すな』と言うので、皆それに従っているんです』
存外早く出た統率者の名前に、真斗は今までの苦労を思い出し早くこうしていれば良かったと後悔が頭をちらついた。
だが一旦はそれを脇に置き、晃と青年の会話を青年に気付かれないように身を潜ませながら、側にあった電柱で身を隠す。
「そのルカってのは、何でそんな命令を?」
『さあ……借りを作るためとか何とか、言っていたような気がしますが……』
「そいつは、強いのか」
『ええ。もう長い期間この世に留まっていると思いますよ』
「そうか。ありがとな、教えてくれて」
『いえいえ』
晃の見た目からか生きている人間だからか、最初はびくびくとしていた様子の男の子は、晃を自身に害のない人物だと判断したのか、最後はにこやかに去っていった。
この世に留まる年数が長ければ長いほど強い霊になりうる。
そして強い霊に、弱い霊は従わざるを得ない。
先程の男の子のおかげで『ルカ』という名前が出てきたが、予測していた内容に真斗は思わず唸り声をあげてしまった。
目的は、『借り』を作るため。
その対象は誰なのだろう、何故そんな事をするのだろう。
益々、謎は深まった。
「とりあえず、お前は今のように聞き込みを頼んだ」
「了解。その間、お前は?」
「その『ルカ』という人物について、ちょっと調べてみようと思う」
「分かった、じゃあここで落ち合おう」
「ああ、また」
互いにすべきことを明確にし、真斗と晃は別々の方向に歩いていった。
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