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後継者
そして、約二時間後。
「何か分かったか?」
「いんや、聞いてみても最初の男の子以上の情報は出てこなかった。そっちは?」
「家の方に依頼を出したから、数日後には分かると思う」
「そうか」
互いに成果を報告し合い、めぼしい情報がなかったことに肩を落とした。
だがまだ晃が協力して一日目、気を取り直して晃は明るい声を上げる。
「そんで、今からお前の想い人に会いに行くってわけか」
「だな」
わくわくと楽しそうな晃に向かって苦笑しながら、「こっちだ」と真斗は先を歩いた。
それに付いて、二人は移動する。
預けていたお守りを真斗から受け取った晃は、それを自身のポケットに入れた。
「まだ終わってないようだな」
「あと十分もしないうちにここは生徒で溢れるだろう。紫乃が出てくるのは皆とちょっとズレて、人が落ち着いてきた頃位に出てくる。だからそれまで、ここで待っていよう」
学校の前にあるガードパイプに腰を下ろし、真斗は携帯で時間を確認する。
その隣に並んだ瑛斗は、空を見上げ流れる雲を追いながらポツリと呟いた。
「お前はその想い人と、ずっと一緒にいるつもりなのか?」
「そのつもりだが?」
「男でも?」
「男でも」
はっきりと潔い返事に予測は付きながらも苦笑いが止まらない瑛斗は、そのまま続ける。
「お前は、白羽家を継ぐんだろう? その場合、子供はどうする」
「俺には弟がいる。最悪、あいつの子供を後継者として育てたらいいだろう。……それに、俺はきっと……」
「きっと?」
「いや、何でもない」
何か言いかけた真斗に瑛斗は首を傾げる。
けれど口を噤んだ真斗に、頭にはてなマークを浮かべながらも前を見た。
どうやら丁度終わったらしい最初の生徒が、丁度こちらに歩いてきていた。
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