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霊力操作

「霊力操作の第一段階として、まず自身の体に宿る霊力を意識するんだ。目を閉じて、それから体の表面に意識を向けてみて。そのまま、じっとしていて」  白羽くんの声の通りに僕は目を閉じ、体の表面に意識を向ける。  すると白羽くんが僕の腕を取り、微かに温かなものを僕の体に流してきた。  それは入っていくうちに僕の霊力と混ざり合い、やがて違和感のないものになる。 「霊力を感じたら、次にそれを手に集めてみるんだ。体の表面にあるものを、寄せて集めるイメージで」  意識したものを寄せて集めて、手に宿るのをイメージしてみる。  完成像は、白羽くんがこの前見せてくれた霊力のように、手の中に光を集める感じで。  そう思い慎重にやっていたのに、集めているうちにやがてそれは霧散した。 「あーっ……散っちゃった……難しい」 「まあ、最初は難しく感じるだろうな。だけど、すぐに霊力をちょっとでも移動させるのはすごい事だぞ。そこは自信を持って良い」  失敗したのに白羽くんは慰める言葉をかけてくれて、「ありがとう」と視線を逸らしながら照れくさくて変になりそうな顔を隠した。  そしてベンチに座り見守っている瑛斗の横に座って、白羽くんも僕の隣に座る。 「最初はちょっと霊力を操作するのでもきついだろう。少し休憩してから、また再開しようか」 「分かった」  確かに白羽くんの言う通り、ちょっと操作しようとしただけなのに、既に体に倦怠感が出始めていた。  そんな僕に瑛斗は僕が好きなバナナジュースを渡してくれて、「ありがとう」と礼を言いつつそれを受け取る。 「紫乃は……幽霊科に、零ノ宮学園に、行くつもりなのか……?」 「どうして?」 「進学先、どうするのかと思って、さ」  一気にゴクリと飲みキャップを閉めた所で、瑛斗はこちらを見ず、日差しの強い空に視線を向けながら零した。  ファミレス近くの公園、ここは遊具が滑り台とブランコしかない寂くれた所で、夏休みの午後だというのに人っ子一人いなかった。  蝉の音だけしか聞こえてこない場所で、僕は「う~ん」と首を捻る。 「まだ分からない……けど、あの霊媒師の人に、話を聞きに行こうとは思ってる」 「霊媒師……ああ、あの時の。それはいつだ?」 「明後日」 「明後日ってお前……そういうことは、もっと早く言えよ」  ため息を吐いた瑛斗は、すぐに「明後日……?」と呟いてハッと僕の方を見た。

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